バラエティ番組で残した爪痕

Xが音楽番組どころか、こうしたバラエティ番組に出ることに対して、バンド界隈では否定的な見方も多くあった。

そもそもスタイリッシュさが求められていたバブル景気に突入した時代において、ド派手な格好をしたメタルのバンドマンたちが、のどかな田舎に行ったり、運動会をして暴れ回るといった不釣り合いさで笑いをとる、イロモノ扱いの企画でもあったのだから、反感を買ったのも当然だろう。

しかし、Xはそこでしっかりと爪痕を残した。

反響はことのほか大きく、自身がその名を轟かせたことは言わずもがな、ヘヴィメタルの可能性に手応えを感じた同番組の演出家、テリー伊藤は、音楽番組『ヘビメタ虎の穴』(日本テレビ)をスタートさせており、後年、自身のWebコラムで当時を振り返っている。

「怖そうな格好をしている割に、意外にナイーブな連中だった。実にいいヤツらだった。それに、何よりも音楽的なレベルは高かった」―― zakzak by 夕刊フジ「テリー伊藤 狸の皮算用」2015年6月3日

同番組にはXの弟分であるTOKYO YANKEESやLADIES ROOM(LADIESROOM)などが出演し、X 以降のシーンが盛り上がるきっかけにもなった。