袖は脇役だからこそ

次に気づいたのは袖の形。

襟周りは首の肌部分の割合を左右し、袖は全体の形(フォルム)の印象を握っています。ふんわり袖は優しく見せ、ぴったりした袖は素朴でキリリとした印象です。

パフスリーブ(ふんわり袖)に憧れたのは『赤毛のアン』の主人公アン。孤児院育ちのアンはおしゃれより実用、と少ない生地で作った洋服しか着たことがなかったので、たっぷりと生地を使った洋服に強い憧れを抱き、そんなワンピースを着たときには大喜びでした。

『71歳、年金月5万円、あるもので工夫する楽しい節約生活』(著:紫苑/大和書房)

柄や色が洋服の主役だとしたら、袖は脇役、あまり人の目に留まりません。だからこそコムデギャルソンの川久保玲氏はこの部分に目を付け、リボンやら、わざとシワを寄せるなどして、シャツを差別化しています。いい脇役は主役を引き立てるのはドラマと同じ、さすがです。

ただのシャツなのに、どこか違う。襟と袖に工夫があるのねとわかると、「普通の顔して、お主ぬしやるな」と感心してしまう私。以来、襟周りと袖は、リメイクするときの私の優先事項になりました。