間もなく義父は亡くなった。それから義母はますます調子が悪化。あまりに精神的に不安定なので、精神科病院に入院することに。私はつかの間、羽を伸ばすことができたが、義母は２週間ほどで退院してしまう。

ある日、買い物から帰ってくると、家の前にパトカーが止まっていた。義母が呼んだらしい。「知らない男が入ってきて、私の腹をわしづかみにするんだよ」という。私は警察に事情を説明し、帰ってもらった。

以後、頻繁に家にパトカーや救急車が呼ばれることになる。私たちは安心して出かけることもできないありさまだ。

医者から処方された睡眠薬は、私が管理していた。一回分ずつを手渡しするようにしていたのだが、渡したにもかかわらず、「もらってない」と訴えてくる。義母の部屋を探してみると、布団の下や財布の中から薬が出てきた。薬をためて、大量服用しようとしているのだ……。

 

◆義母の部屋から黒い煙が立ち込めて

ある日、３歳の娘に昼寝をさせようと添い寝をしていたとき、つい私もまどろんでしまった。そのとき、パリンと何かが割れる音が。階下の義母の部屋を見ると、ガラス戸が真っ黒だ。慌てて階段を下り、戸を開ける。室内は黒い煙で満ち、義母のベッドから炎が見えた。

「おばあちゃん、何やったの？」

私はバケツで何度か水をかけてみたが、煙が濃く、中に入ることができない。諦めて119番した。

２階から娘の泣き声が聞こえる。階段にも煙が満ちて、視界が暗い。なんとか娘を抱きかかえて車に乗せ、少し離れたところへ避難させて再び家に戻った。火の勢いはますます強くなっている。間もなく消防車が到着。ホースを持った消防隊員が、

「まだ中に誰かいますか？」

と尋ねる。「おばあちゃんが」と言って、私は隊員を部屋に導く。隊員は消火しながら義母の部屋へ。しかし火の勢いは強く、消火には１時間くらいかかった。突然、目の前にブルーシートが広げられる。その様子を茫然と見ていると、誰かに呼ばれた。

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