老いとともに、重症化する悪癖、病。やがてその行動は家族ではどうすることもできないほどに……。三島理恵さん(仮名)の義母は、精神疾患の症状が年々悪化し、最後に恐るべき行動に出たといいます(「読者体験手記」より)

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◆家に何度もパトカーや救急車が

義母は、若い頃から精神疾患を抱えていた。良くなったり悪くなったりを繰り返していたが、症状が悪化する一方。そこで、10年ほど前に私たち一家が義父母のもとへ引っ越し、同居することになった。

その生活実態を見た私は愕然とした。コンロに置かれた鍋には腐った味噌汁、炊飯器にはいつから保温していたのかわからない黄ばんだご飯、ゴミだらけの台所……。片づけ始めると、あちこちから栓抜きや大量の味噌が。どうやら、義母は認知症も始まっているようだ。以後、家事一切を私が引き受けることにした。

冬には、朝の5時に起きて雪かきをするのが私の仕事だ。それが終わると朝食を用意して子どもたちを学校に送り、洗濯、掃除、昼食の準備と、一日はあっという間に過ぎる。

しばらくすると、義父も床に臥すようになり、やがて自力でトイレに行くことも難しくなる。義母は、オムツのパッドを取り替えるだけなら自分でもできると言うので、義父の介護を任せることにした。

しかし、ある晩。「う~」という突然のうめき声に、私と夫は目を覚ました。時計を見ると、午前2時。声は階下の義父母の部屋からだ。急いで様子を見に行くと、ベッドで寝ている義父のそばで、義母がうずくまって呪詛のようにうめいている。義父のオムツを確認すると、取り替えていないパッドが何枚も入っていた。

そのことがあってから、私は義父の下の世話もすることに。義母は介護らしいことは何一つできなかったが、食事のとき以外、義父のそばから離れようとしなかった。

ある日のこと。私が義父のところに食事を持っていくと、義母が言った。

「あんた、父さんを殺そうと考えているべ」

どうやら、妄想にとらわれているようだ。その後も、何度も心ない言葉を浴びせられるようになる。