できるだけ正直に家族の「今」を
ノエル 母が病気で中断していた「最後の自叙伝」を私たちきょうだい3人で書き継ごうと考えたのも、長女としての責任感だったの?
かれん というよりも、途中まで進んでいた原稿が非常に面白くて、本にしないのは単純にもったいないと思ったの。私たちの記憶を紡いでいけば形にできるんじゃないかと。
ノエル 私は最初、「桐島洋子賛歌!」みたいな本をイメージしてた。私たちのパートも、子どもの頃から何百回も書いてきた「お約束の話」を書けばいいのかなって。ところがかれんが最初に書いてきた文章を読んだら、想像以上に激しい内容で。「え、ここまで書いちゃっていいの?」と衝撃を受けた。
かれん ふふふ。
ノエル だって私たち、子どもなりに周りの空気を読んで「桐島洋子」のイメージを守ろうとしてきたじゃない。そこから外れる内容を明かしてしまっていいものか、しかも母が自分で原稿を書けない状況で――と、ずいぶん悩んで原稿もなかなか進まなかった。
かれん ノエルはすごく慎重だったね。ローリーは「いいじゃない、オッケー!」って軽く受けてくれたけど。(笑)
ノエル やっぱりローリーがきょうだいにいてくれてよかったと思う。(笑)