ザ・ドリフターズの高木ブーさんが自動車運転免許証を返納したのは4年前、84歳の時。当時はまだ返納者が少なかったこともあり、大きなニュースとなりました。きっぱりと運転をやめた背景には、コメディアンとしての強い思いもあったそうです。父娘の対談で明かされた経緯とはーー(構成=上田恵子 撮影=本社写真部)
「タレントが運転してはいけない」と言われた頃
かおる 最近、高齢者の運転による事故が増えているなと思うの。うちはお父さんと、私たち夫婦と息子の二世帯同居だから、一緒にテレビを見て、事故のニュースについてあれこれ話し合うことも多いね。
ブー 本当に、毎日事故のニュースを見ている気がする。僕が免許を返納したのは、17年の3月か。取るのは時間がかかったのに、返すのはあっという間だったな。
かおる お父さんが免許を取ったのはわりと遅かったのよね。私が中学生の時だった記憶がある。
ブー 42、43歳の頃だったと思う。夏休みを3週間もらって、やっとね。それまで仕事が忙しくてさ、免許を取りに行く暇がなかったんだよ。
かおる 知り合いの方が山形で自動車教習所をやっていて、その方のお宅に泊まって免許を取ったんじゃなかった? 合宿免許みたいな感じで。
ブー そうだった。そもそもドリフターズ時代は、いつも運転手さんがついていたからね。「タレントが事故を起こしたら大変だから、車を運転しちゃいけない」って事務所の方針で。
かおる どうして40代で免許を取ろうと思ったの?
ブー やっぱり、自分で運転してみたかったんだなあ。車があれば行きたい時に行きたいところへ行けるし。
かおる 最初はぶつけてもいいようにと、丈夫な車を買ったんだよね。
ブー 当時は、「高い車は頑丈で、ぶつけても安心」みたいな考えを持っていたんだよ。たとえば外国の車なら「ベンツ」、日本車なら「クラウン」といったクラス。