「長いことお天道様や各種のストレスにさらされた我が顔面のシミ・シワ・タルミの三点セットをいやが応でも思い知らされる」(イラスト提供:イラストAC)
2022年に厚生労働省より日本人の平均寿命が発表され、男性の平均寿命は 81.47歳、女性は87.57歳とのこと。人生の中で、避けられない「老い」と、どのように向き合っていくべきなのでしょうか。日本初の女性競馬新聞記者となり、72歳になった現在もノンフィクション作家として活躍する吉永みち子さんが考える、老いとの付き合い方とは。歳を重ねて特に気になることの一つが、お肌の状態。様々な美容製品が発売される中、諦めて全部受け入れるわけでもなく、無理してアンチエイジングを進めるでもない、第三の選択肢があるとのことで――。

シミ・シワ・タルミは女の天敵か

女性にとって、最初に直面する老いの実感は、鏡の中から忍び寄ってくる。若い頃は多少日焼けしても、さほどの禍根を残さず復旧していたのに、ある日、青空に発生した小さな雨雲みたいにシミのようなものが……寝不足のせいだと思っていた化粧のノリの悪さは、もしかしたら肌のハリがなくなったせいか……笑いジワだと笑っていた目じりのシワが笑ってないのに消えない……長いことお天道様や各種のストレスにさらされた我が顔面のシミ・シワ・タルミの三点セットをいやが応でも思い知らされる。

シワだって齢(よわい)を重ねた美しさである……なんてことは、どう強がっても10 代20代のピチピチで潤いたっぷりの人と並ぶと、金輪際思えない。正直、若い人たちの方が断然美しい。

「お年の割にはハリがまだありますよ」とフォローしてくれるのは60代くらいまでかな。

お年の割か……ハリはないけどまだ多少マシってことだなとムッとしていると、「ご高齢でもお肌がツルツルで、シミもタルミも少ない人はいらっしゃいますから」と励ましとも慰めともとれる言葉をかけてくれる人がいて、一応ちょっとは「今からでも遅くない、その道を進んでみるか……」と考える。

が、そのためには、時間もお金も費やさねばならない。入念にチェックして、エステに通い、自分でもマッサージし、持ち上げ続けねばならない。自然の法則に逆らうには、大変な根性が求められるわけだ。ひとたびハマると、残りの人生懸けて取り組むことになりかねない。

それもちょっとなあ……若い時のように放っぽいておいてはまずいかもしれないと多少焦りつつも、根性なしの私はあまり真剣にはお肌の老化問題に取り組まないまま50代、60代を過ごしてきた。今思うと、過ごしてきたのではなく、まだ過ごせてきたレベルだったのだ。