2人の関係は最後まで同士愛のまま

羽男は父親で裁判官の泰助(イッセー尾形)から大手法律事務所に移籍するよう促されたが、拒んだ。小さな弁護士事務所のほうが自分に向くと思ったのだが、それだけではない。石子というパートナーを失いたくなかったからだ。

何も不思議なことではない。現実に世間で働く人も大抵は大切に思っているパートナーがいる。失いたくない人がいる。

最終回の第10話。羽男は石子に対し「相棒としてパラリーガルとして、これからもよろしくお願いします」と気恥ずかしそうに頼む。だが、石子は断った。羽男の横にいる相棒の弁護士になると決心したからだ。欠点だらけにもかかわらず、頑張る羽男に触発された。

試験当日になった。石子は会場に着く直前で事故のことを思い出し、再びトラウマに襲われてしまう。そこへ羽男が現れ、スッと傘を差し出した。晴天の中だった。

「とっとと受かってこい」(羽男)

お前は優秀なんだから大丈夫と言わんばかりだった。最後まで2人の関係は同志愛に満ちていた。

石子は元依頼人で、「潮法律事務所」の元アルバイト・大庭蒼生(赤楚衛二)から告白を受け、第6話から交際したものの、その描写は至って淡泊。羽男との三角関係というありがちなパターンにもならなかった。仮にそうなっていたら、陳腐化していただろう。