温かく見送る場でバカ扱いされたことにショックを

第3の後悔は、ちょっと意外なこと。世の妻たちは、夫の「歴史」を知っているだろうか。葬儀で故人の略歴を読み上げてくれるのだが、そのための情報が必要だ。

子連れで再婚して5年。私と出会って以降の勤務先は知っていても、その前のことは何一つ知らない。結婚するときには互いの履歴書を交わしておくとよさそうだ。夫の友人に知らせようにも、私が知る2人しか連絡先がわからない。参列者のほとんどは私の友人たちになった。

第4の後悔として、夫の親族が親身になってくれなかったこと。夫の母が「火葬場には行かない」と言うので驚いたが、喪主で忙しかった私は理由を聞かなかった。夫の伯父夫妻、弟夫妻がやってきて、伯父が夫の思い出話を始めたが、その内容に私たち家族はドン引きした。「あいつは勉強ができなくてバカだった」。

私たちにとって、夫は物知りでユーモアにあふれ、雑学ならなんでもこい、という教養ある人間だった。再婚のため、いきなり私の子どもたちの父親役をすることになったのだが、5年間、よき相談相手であり、保護者だった。

温かく見送る場でバカ扱いされたことにショックを受けた。以来、夫の親族と疎遠となったのは言うまでもない。