怒りっぽいのは、老いが気に入らないから
94歳でサービス付き高齢者向け住宅に住んでいる知人は、医師に「あなたは100歳まで大丈夫」だと言われてプリプリ怒っていました。
「どうやってあと何年も生きるっていうのよ。楽しくもないのに……」と言いながら、それでも「ここが痛いから医者に診てもらう」「あそこがおかしいから診てもらう」と、矛盾したことを言っています。
この人は頭がはっきりしていて腹を立てていますが、認知症の人も怒りっぽくなる例があります。
ついこの前も、デイサービスのお風呂で、「人前で裸になりたくない」とプリプリ怒って洋服のまま湯船に入った人の話を聞きました。外から聞けば笑い話ですが、本人はいたって真面目。大真面目に怒っているのです。
高齢者は総じて怒りっぽい。なぜなら基本的に老いが気に入らないからです。
老いてヨタヘロしている自分のことが気に入らない。周囲に気にかけられすぎても、気にかけられなくても気に入らない。ボケてしまうと、それが理不尽な怒りだということにも気づかない。
老いていく、上手に年を取るというのは、本当に大変なことです。