人生、燃焼するべきところでちゃんと燃焼させておく

私はいま、娘と二人で暮らしていますが、どうしても体力的に娘に頼らざるを得ない部分が増えています。

かつては威張っていた鬼母でしたが、今や転んだときにも娘に駆けつけて面倒をみてもらっている。とはいえ急にやさしい声をかけるわけにもいかないので、始終口喧嘩をして悔しい思いをしています。

かわいいおばあちゃんとはほど遠いのですが、実はその悔しさが元気のもと。

「娘にそんなことを言われてたまるか!」という気持ちがあるから、ボケずに生きられるのかもしれません。

最近よく「年を取って前向きに生きる方法はないですか?」と聞かれますが、高齢になるまで生きてきたのですから、前を向こうと後ろを向こうと本人の勝手です。

ただ大事なのは、体が動くうちにやりたいことはやっておく。人生、燃焼するべきところでちゃんと燃焼させておく。友だちと楽しく会って、人のために役立つ活動もして、楽しげに生きる姿を周囲に見せておく。

そうすれば、最終的に施設に入ることになったとしても「あれだけ楽しそうに人生を謳歌していたのだから、いいかな」と周りの人は思うはずです。

※本稿は、『どっこい生きてる90歳 老~い、どん!2』(婦人之友社)の一部を再編集したものです。


どっこい生きてる90歳 老~い、どん!2』(著:樋口恵子/婦人之友社)

読者から大きな反響と共感が寄せられた『老〜い、どん!』から3年。待望の続編です。「2022年5月の誕生日を迎えると、私は90歳。米寿を過ぎ、90代という本格的な高齢期に入りつつあります。かつて私が考えていた老いというのは、あえて言えば“かりそめ”の老い。嘘ではないけれど、あれはまだ老いの入り口だったということをつくづく思います」と樋口恵子さん。読者からの人生相談、密着した樋口さんの1日も必見。シニア世代に勇気を与える1冊です。