寛容性のスイッチ

「ヤマザキさんは、この先どんなことをやってみたいですか」などという質問を受けることがあるが、答えは決まっている。

「やりたいことなんてありません。なぜなら、自分の意思とは関係のない出来事が絶対に起こるからです」。

諦観を決めると生きることは楽になる。

社会や家族に対してだけではなく、自分にすら「こうでありたい、こうあるべき」という理想や羨望がまったくないから、どんな失敗や恥ずかしい事態を引き起こしても、呆れられても、人様に迷惑がかかることでなければそれでよし、という寛容性のスイッチが稼働する。

そうしたありのままの自分を受け入れた自然体の生き方ってのも、それはそれで十分世間からの妬みを買う要素になるから気をつけたほうがいいよ、と友人に助言されたこともあったが、自然体で生きる人間を非難するのが当たり前になるような日が来たら、立つ瀬はない。