ジェーン・スーさんが『婦人公論』に連載中のエッセイを配信。今回は「お金」について。休みだけでなく、お金の使い方も下手だというスーさん。来年50歳になるのに、ドラッグストアでの大人買いレベルで憂さが晴れるのを「成長していない」と感じているそうで――。(文=ジェーン・スー イラスト=川原瑞丸)

大きな金額の品物を買うのが苦手だ

先月は己の休み下手を告白した。今月は、お金を使うのがつくづく下手な話をする。どちらも同じ理屈だと判明したので、記録として残しておきたい。

私は日常レベルでの無駄遣いは天才的だが、大きな金額の品物を買うのが苦手だ。本当に欲しいのか、必要なのか、熟考するのが億劫でいつも後回しにしてしまう。清貧とはかけ離れた人間で、千円くらいの価格なら考えなしになんでも買ってしまうというのに。

長期休暇を取得するのが苦手なのも同じ理屈で、いつなら休めるか、休むならなにをするかのプランを考えるのが非常に面倒なのだ。

思考自体が苦手なわけではない。興味のあることならば延々と考えていられるし、自分なりの結論を導き出すことも得意だ。それゆえに、興味の対象外はすべて放棄したくなってしまう。