症状が進むほどに、家族の介護の負担は重くなる

誰だって、いつまでも住み慣れた家で過ごしたいものです。その気持ちは認知症になっても変わりません。

しかし、「迷惑をかけるつもりはない」と思って努力しても、認知症になるとどうしても、だんだんと家族に負担をかけてしまうところがあります。

症状が進むほどに、家族の介護の負担は重くなっていきます。

『80代から認知症はフツー ─ ボケを明るく生きる』(著:和田秀樹/興陽館)

家族も最初は「親や伴侶の面倒を見るのは当たり前」と思っていても、日常生活に支障が出るようになり、仕事にも差し支えが出てくるようになると、やがて息切れが始まります。さらに、自分の生活を犠牲にしているのに、暴言を吐かれたり、「財布を盗んだ」といわれたりすることもあります。

認知症の人は症状が進むと、他人とのコミュニケーションがうまくできなくなります。家族の疲労感は増していき、一生懸命に介護をしても感謝されることを実感できなくなります。

暴言など心ない言葉を発するのは病気のせいなのですが、度重なると家族の精神的な疲労もたまっていきます。そして、最後は老人ホームのプロに委ねることになります。