症状が軽いうちにすべきことの一つは、自分が将来入る老人ホームを探しておくこと(写真提供:Photo AC)
人生100年時代、それは同時に、脳の老化によって生じる「認知症」に誰がなっても不思議ではない時代に突入したと言えます。医師で、健康にまつわる本を多く手掛けている和田秀樹さんは「85歳を過ぎた人の脳を見れば、全員に認知症の変化が起きており、誰もが“フツーに”認知症になりえる」と言います。そして認知症と診断されたら、将来に向けていくつか準備するべきことがあるそうで――。

症状が軽いうちに老人ホームを探しておく

認知症になったら今を存分に楽しむ。それを強くおすすめします。

ただ、初期段階でやっておきたいエンディングの準備もあります。あまり考えたくないことですが、認知症は進行性の病気なので、どうしても症状は進み、重度になると物事の判断や決断ができなくなります。

ただし、意外に進行は遅く、重度になるまで10年くらいかかることはざらにあります。

症状が軽いうちにすべきことの一つは、自分が将来入る老人ホームを探しておくことです。認知症になると、ほとんどの場合、最後は認知症患者にも対応してくれる老人ホームに入って介護のプロのお世話になります。

老人ホームにはさまざまな種類があり、施設もサービスもいろいろあり、また費用も異なります。さらに、自分の好みや相性もあります。実際に見学をしたり体験入居をしたりしないと、自分にとって居心地のいいところなのかどうかはわからないものです。

例えば、レクリエーションにはどんなものがあり、どれくらいの頻度でできるのか。あるいは食事はどれほどの質なのか。スタッフの雰囲気やサービスの提供の仕方はどのような感じなのか。

そういったことを見学や体験入居をして確かめて自分の希望を明確にしておかないと、症状が進んだときに家族が適当な施設を見つけて入れられてしまうことになります。あらかじめ、認知症になった自分自身でいろいろな施設に見学や体験入居をしておくことをおすすめします。