別々に暮らすことで家族が楽になり、精神的な余裕が生まれる

私は、老人ホームへの入居は早めがいいと考えます。老人ホームに入っても、やりたいことはできるからです。認知症になったら、前向きな気持ちで見学や体験入居をして、やりたいことを自由にやらせてくれる施設を探しておきましょう。

また、早めに施設に入ると家族が認知症になった本人を嫌いにならずに介護を終えることができます。

愛する家族でも、介護が重くのしかかり続けると、だんだんと本人を嫌いになってしまいます。病気とわかっていても、相手が愛する人であっても、どうしても心のキャパを超えてしまえば嫌になってしまうものなのです。

早めに施設に入ると家族が認知症になった本人を嫌いにならずに介護を終えることができる(写真提供:Photo AC)

もう少しいうと、認知症になった親や伴侶を嫌になってしまった家族は、身体的な負担だけでなく、精神的にも大きな負担を抱え続けることになります。それが別々に暮らすことで家族が楽になり、精神的な余裕が生まれるのです。

これを遅らせてしまうと最後は老人ホームに託すことになっても、愛している家族を嫌いになってしまったことに対して複雑な思いがそのまま残ることもあります。

どのような介護も基本的に同じだと思いますが、介護する者が介護される者を嫌いにならないようにすることがとても重要です。嫌いになってしまうと、そのときの関係性だけでなく、その後も精神的な影響が出てしまいます。