身を守るために必要なこと

『婦人公論』読者のみなさんも、今になって梅毒の感染が再燃しているという事実に驚かれたのではないでしょうか。お子さん、お孫さんのことが心配になった方も、いらっしゃるかもしれません。最後に、予防するにはどう行動すべきなのかを、専門医の立場から述べておきたいと思います。梅毒に限らず、性感染症予防全般に当てはまる原則だと考えてください。

まず、言うまでもなく不特定多数とのセックスを避けること。特定の相手と関係を持つ場合にも、パートナーが代わったら、セックスする前に、その都度お互いに検査するようにしましょう。

そのうえで、セックスする時は、最初から最後までコンドームを装着します。さきほども言ったように、口腔性交でも感染する可能性のあることを認識しておくのも大事です。

彼氏には元カノがいて、その元カノには元カレがいて……。性感染症のネットワークは、どこでどう繋がっているかわかりません。「この人は大丈夫」と思い込むのは危険だと思ってほしいのです。

「この人は大丈夫」と思い込むのは危険(写真提供:photo AC)

そのうえで、少しでも不安に感じるところがあるのなら、積極的に検査を受けましょう。万が一感染が判明したら、完治するまで根気強く治療を受けることです。

梅毒がこんな状況になった背景の1つには、我々医療現場に従事する人間の無知や油断があったのかもしれません。まず自分たちがこの問題を直視し、蔓延を食い止め今度こそ根絶に向かわせるために、有効な取り組みを実行していく必要があると思っています。