和田秀樹先生「いくら長生きできるようになったと言っても、人は脳から老いることを忘れてはいけない」(写真提供:詩想社)
医師で、健康にまつわる本を多く手掛けている和田秀樹さんの著書『70歳が老化の分かれ道』。「一気に衰えるのか、若さを持続するのか、その分岐点は70歳にある」との主張がまとめられた同書は、2022年上半期「新書ノンフィクション」で第1位(日販、トーハン調べ)、部数も28万部を超えるなど、ベストセラーになっています。しかし和田さんは、その主張と同時に「いくら長生きできるようになっても、脳から老いるのは避けられないという事実を念頭に置く必要もある」と言っていて――。

がんが克服されることも十分考えられる

前項で老いの期間が延びていくと述べましたが、実際にどのような晩年が私たちに待っているのかを具体的に考えてみましょう。

私たちはこれまで、医学の進歩によって病気を克服し、寿命を延ばしてきました。たとえば、結核を克服したときには、日本人の平均寿命は20年ほど延びました。

現代医学は日々、ものすごいスピードで進歩していますので、近い将来には、がんの治療法が見つかる可能性もあります。もし、がんを克服できたら、平均寿命は5年ほど延びるのではないでしょうか。

かつて夢の新薬と話題となったオプジーボも、その効果は限定的なものであることがわかってきましたが、今後、別のタイプの薬が開発され、免疫の活性を上げる治療法が確立されるようになると、がんが克服されることも十分考えられます。