『70歳が老化の分かれ道 若さを持続する人、一気に衰える人の違い』(著:和田秀樹/詩想社新書)

結局人は、脳から老いていくことを避けることができない

脳の老化にともなうアルツハイマー病についても、世界で多くの人たちが研究をしていますが、いまだに治療法はわかっていません。

まだ、仮説の段階ですが、脳の中でアミロイドという物質がたまることによって、アルツハイマー病が引き起こされると考えられていて、そのアミロイドの産生、蓄積を止める薬が開発できれば根本的な治療法になるとみられています。

しかし、この治療薬の治験は、20年、30年前から行っていて、動物実験では多少は成功した例もあるようですが、人間にはほとんどうまくいかず、いくつかの会社はすでに研究から撤退しています。

つまり、脳の老化を止めるということは、それほど難しいことなのです。ようやくそのような薬がアメリカで認可を受けたという話も出てきましたが、それでもその薬は、かなり高額のものです。

いずれにせよ、医学の進歩が大きな病気を克服し、さまざまな臓器を若返らせたとしても、結局人は、脳から老いていくことを避けることができないのです。