「意識が変わったのは、2014年に公開された映画『ぼんとリンちゃん』に出演してから。《芝居ってこういうものだよ》と、丁寧に教えていただいたおかげで、心から面白いと思えたんですね。」

上京の決め手になったのは「達成感」ですね。舞台を終えたあとの、やりきった感がすごく心地良くて。あと、カーテンコールの華やかさ。お客様からの拍手が本当に嬉しかった。それらをもう一度味わってみたかったのだと思います。

ホームシックは経験していないつもりだったのですが、僕が忘れていただけで実はあったようです。母親から、「昔は頻繁に電話をくれたのに、最近は全然だね」と言われた時は驚きました。僕と年子の弟とは、実家にいた頃はケンカしてばかり。離れて暮らすようになってだいぶ落ち着きましたが、たまに会うとなんだか恥ずかしいですね。(笑)

東京へ来てからは「人に迷惑をかけないようにしよう」と必死に仕事をしていたつもりですが、今思えば最初の3〜4年は部活感覚だった気がします。現場で出会う方々が皆さんいい人ばかりで、「またいつか会えるように頑張りたい」と、それだけを考えながらやっていました。

意識が変わったのは、2014年に公開された映画『ぼんとリンちゃん』に出演してから。稽古に2ヵ月、撮影に1ヵ月と、通常より時間をかけてじっくり取り組んだ作品で、とにかく現場が楽しくて。「芝居ってこういうものだよ」と、丁寧に教えていただいたおかげで、心から面白いと思えたんですね。そこから今日までずっと、芝居の奥深さに取り憑かれています。