とにかく一流
江頭さんのご尊父は東大出のエリートで、妻憲子さんの父君も九大医学部卒の整形外科医でした。そうした環境も手伝ってかどうかわかりませんが、江頭さんはとにかく一流好みでした。
米軍指定業者で財を成すとすぐに福岡市内に大邸宅を構え、シボレーを購入しています。後年は何台も乗り換えたジャガーの愛好ぶりが有名でした。何事にもこだわりが強く、一番をめざすのも江頭流です。福岡で始めたベーカリーに「ロイヤル」の名前を冠したことが、それを象徴しています。
機内食とベーカリーを成功させた江頭さんは、日本一のレストランを作る夢を膨らませました。そして、なんのつてもなく、福岡から上京し、銀座の有名フランス料理店「コックドール」の門を叩きます。これも江頭流です。超一流と言われる人に頭を下げて、教えを乞うのです。
1953年、江頭さんは、店の設計から支配人、シェフなどの中核スタッフまで「コックドール」の全面的な支援を得て、福岡市の中洲にフランス料理店「ロイヤル中洲本店」を開業し、飲食業界に本格参入しました。当時、九州では珍しかった超高級フランス料理店はたちまち話題となり、翌年には世紀の大スター、マリリン・モンローが来店したといいます。