世界的に愛されるスターであるが故の誹謗中傷

歴史に残る、生きる伝説たる羽生結弦の「人間味」を感じる場面は、プロへの転向を表明した時のインタビューの数々の言葉の中にあった。
彼が、誹謗中傷に悩んだことを告白したのだ。

「まあ何回も心がなくなっちゃうっていうか、無としてやってる時とかありました。正直、1番きつかった時は、絶対に忘れないんですけど、言いたくないんですけど。その時は食事もままならなかったですし、正直ほとんど通らなかったし、食べたくもなかった。それでも、演技している間は祈りとか表現したいこととか感情とか、全部のってくれる」

デイリースポーツ 『プロ転向の羽生結弦 松岡修造にきっぱり「テニスで40代でめちゃくちゃ強い人いるじゃないですか」』より

彼ほどの世界的に愛されるスターはそういない。
しかし、同時に多くの悪意に晒され、容赦なく投げつけられてきたことも、また事実である。スターというのは、人々の関心や好意と共に、時に負の感情や嫉みを引き寄せてしまう宿命がある。良くも悪くも人々の心を掴んで離さない。それがスターたる所以なのだと思う。

大抵の有名人はそれに関して公に言及することはない。何を言ったって切り取られ、恣意的に解釈されたりする。きっと、言及を避けざるを得ない事情があるのだと思う。

羽生結弦もまた、応援してくれる人に対しての感謝はいつも溢れるほどに口にするけれど、今回のように、「自分の痛み」について率直に口にするのは、少し意外でもあった。