(写真提供◎ヒオカさん 以下すべて)
フィギュアスケートのメダリスト・羽生結弦が、2022年7月のプロ転向後、初の単独アイスショー「プロローグ in  YOKOHAMA」に出演。11月4日、5日は横浜ピアアリーナで、12月には八戸のフラット八戸で開催される。羽生をこよなく愛するヒオカさんの「羽生愛」を語った記事を再配信します。

*********
貧困家庭に生まれ、いじめや不登校を経験しながらも奨学金で高校、大学に進学、上京して書くという仕事についたヒオカさん。現在もアルバイトを続けながら、「無いものにされる痛みに想像力を」をモットーにライターとして活動をしている。ヒオカさんの父は定職に就くことも、人と関係を築くこともできなかったそうで、苦しんでいる姿を見るたび、胸が痛かったという。第17回は「新たな出発の宣言をした羽生結弦さんのこと」です。

羽生結弦の不思議な吸引力

羽生結弦は、至高の表現者だと思う。(以下、敬称略)

彼はフィギュアスケーターであり、アスリートである。
しかし、スポーツでありながら彼のスケートはどこまでも「芸術的」だ。

私は天邪鬼なところがあって、国民的な人気のある人はそんなに好きにならない。
流行りの人が好きってなんだかミーハーな感じがするし、ちょっと距離を置いてしまうのだ。

でも、羽生結弦は別。(笑)

彼の演技は、思わず見入ってしまう、不思議な吸引力のようなものがある。
彼が演技前、フッと集中モードに入ると、もう彼以外見えなくなり、思わず息を飲んでしまう。
目の前の出来事は本当に人間界で起こっているのだろうか?と思うほどに、一つ一つの動きや仕草が美しい。人に対して美麗という言葉を使ったのは、彼がはじめてである。
きっと脳内でイメージしたものが体に伝わる回路みたいなものが尋常じゃなく発達しているのだろう。

次々に繰り出される表現の数々は、いつも想像の遥か上を行くものばかりだ。
音楽への並々ならぬこだわりが有名な彼だが、実際音ハメの技術に関しては右に出るものがいない程秀でている。音楽と一体となり、もはや彼自身が音楽の化身なのではないかと思う程だ。