『天気の子』全国東宝系公開中 ©2019「天気の子」製作委員会

怒らせるような作品を作ろうと

『天気の子』公開後は様々な感想が寄せられた。特にエンディングでの主人公の行動には賛否両方の声があがったが、元々新海監督の狙いはそこにあったとのこと。

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物語を作っていくうえで大きな力となったのは、『君の名は。』を観てくださった方々から寄せられた数多くの感想でした。「感動しました」といった賛辞に励みをいただいたのは言うまでもありません。でも、厳しい批判のほうが僕に新しい物語の方向を教えてくれたような気がします。

(中略)結果的に僕は、前作で怒らせてしまった人をもっと怒らせてしまうような作品を作ろうという方向性を打ち出しました。『天気の子』は帆高や陽菜が運命に翻弄されながらも、それぞれの生き方を自分で選択していく物語ですが、彼らの選択に釈然としないといった感想を抱く人もいることでしょう。でもそれでいい。議論のテーマを投げかけることが自分の役割なのではないかと思い至ったのです。正解のない物語を作るという軸を据えることができた。これこそが、『君の名は。』という作品から僕がもらった最大のギフトだと確信しています。

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