社会人になってから矯正を検討したが、器具を数年間付けなければいけないこと、莫大な費用が捻出できないことを理由に断念。

それならば、せめて黄色い歯を白くしようと思っていた時、女性誌でホームホワイトニングの記事を見つけた。マウスピースに薬剤を塗布し、それを装着して寝るだけで歯が白くなるという優れものだ。やっと宝物を探し当てたようで胸が躍った。

幼い頃に通った歯科医院を再び訪れ、ホームホワイトニングを受けることにした。歯科医から「歯の色は遺伝でだいたい決まっているもの。だから、白くしすぎると顔に合わなくなるよ」と忠告され、渋々いまの歯より2段階だけ白い色味を選択。

上下で6万円ほどかかったが、仕事を休まずに家でできることは画期的だったし、なにより歯が白くなっていくことが嬉しかった。

 

魚の骨が刺さった前歯を見てみると

しかし30歳を過ぎ、結婚して夫の転勤で他県に移ってからというもの、話す相手みんなが私の歯を笑っているように思えて、再び歯並びに悩み始めたのだ。費用を考えると、矯正したいなんて夫には言えない。

鏡を見ながら考えあぐねていた時、ピンッと閃いた。下の2本の前歯の左横、斜めに生えているこの歯を抜いて、舌で歯を押し続けていれば、そのうち隙間が詰まり、すべての歯が真っ直ぐになるのではないか。

パート仲間におすすめの歯医者を教えてもらい、早速向かうことにした。とはいえ、初診から「歯を抜いてください」とは言いにくく、とりあえずは爪楊枝の先が入るくらいの穴が開いた虫歯の治療をお願いすることに。