左大将になることで「父が見ていない世界を私は見たい」と話す実朝でしたが…(『集古十種、古画肖像之部 上』編:松平定信 /郁文舎、国立国会図書館デジタルコレクション

 

小栗旬さん演じる北条義時、大泉洋さん演じる源頼朝ら、権力の座を巡る武士たちの駆け引きが三谷幸喜さんの脚本で巧みに描かれるNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(総合、日曜午後8時ほか)。11月13日の放送回では、源実朝に嫡男が誕生せず、後継者問題がくすぶっていた鎌倉へ「鎌倉殿となること」に強い意志を宿した公暁が帰還します。一方で義時らは実朝の言動に不満を抱きますが、そんな中、実朝の相談に対して後鳥羽上皇から返事が届いて……といった内容が展開しました。

一方、歴史研究者で東大史料編纂所教授・本郷和人先生が気になるあのシーンをプレイバック、解説するのが本連載。第14回は「ほんとうに左大将は右大将より上か」について。この連載を読めばドラマがさらに楽しくなること間違いなし!

左大将は右大将より<上>?

前回、北条政子が自ら上洛し、後鳥羽上皇の乳母である藤原兼子と面会しました。

威圧感たっぷりで政子を迎えた兼子を相手に「兼子様は我らにとっても、何よりも大事なお方」と伝えつつ談判。見事、頼仁親王が次の鎌倉殿になる方向で交渉をまとめました。

そしてこの交渉の成果として、実朝は頼朝を超える「左大将」、政子は「従三位」の位を与えられることになりました。

すると、生田斗真さん演じる源仲章が、「右大将であった父上の頼朝様より、左大将は上位です。おめでとうございます」と賛辞を述べていましたよね。これ、著者としては少しだけ引っかかりました。そのことについて、説明しましょう。