せっかく生きてるんですから

世の中の風潮的に、歳を取った人には何もせずにゆっくりしてもらう、それが年寄りを大事にするということ…そんな空気があると思うんですけど、自分が年寄りになって思うのは、そんな“大事”なんて要らないということ。

もちろん、これは私が体力的にも元気でお仕事ができている。それがあるからだとは思いますし、全員に当てはめることではないとも思います。ただ、生きているという実感は必要とされる時により一層出てくるもの。それも事実だと思うんです。

大きな仕事をするとか、そんなことでなくとも、何か役割を与えられる。そのことによって生きていることの楽しさをさらに感じられると思うんです。

(撮影◎中西正男)

毎朝、近所の公園に行って運動をするんですけど、私がまだ中堅クラスになるくらいの先輩方も数多く来られています。

そこで1時間くらい、ああでもないこうでもないと世間話をする。家に帰ったらお一人の方もたくさんいらっしゃいますけど、そこで互いが互いの話を聞いて楽しく笑う。

そうやってみなさんがみなさんの楽しみになってその日一日の力を得ていかれる。これだけでも素敵なことだと思いますし、ま、せっかく生きてるんですから。自分から楽しさを見つける。そして楽しい自分でいる。そうしないと楽しくないじゃない。

そして、学歴だなんだということじゃなく、歳を取って元気でいる。それだけでね、どんどん言葉に説得力が出てくるんです。だからこそ、ラッキーなことに私はまだ仕事もさせてもらっているので、旗振り役といったらおこがましいけど、頑張れる間はなんとか頑張っていたい。素直にそう思うんです。