ジェーン・スーさんが『婦人公論』に連載中のエッセイを配信。今回は「人間ドック」について。来年50歳を迎える前に、生まれて初めて人間ドックを受けたというスーさん。これまで検査を避け続けていたのにはいくつか理由があるそうで――。(文=ジェーン・スー イラスト=川原瑞丸)
生まれて初めて人間ドックへ
先月、人間ドックへ行った。恥ずかしながら、生まれて初めて。まともな健康診断すら、私は10年近く受けていなかった。
避けていた一番の理由は、面倒だから。次に、肥満気味と言われることがわかっていたから。そんなことは人に言われなくてもわかっています。
最後に、25年前に死んだ母のこと。母は10年以上、毎年真面目に人間ドックで検査をしていたのに、がんが見つかったときには末期だった。なんのための検査だったのかと、私は悲しく、憤慨もした。人間ドックへの私怨というか、不信があったのだ。
ではなぜ受けたかと言えば、来年50歳になることに加えて、先月の連載で記した通りの体たらく。つまり、お金の使い方が下手な自分を少し改めようと思ったのがある。人間ドックは高額だが、さすがに母が受けていた頃よりは精度も上がっているだろう。大人としては意味のある使途と言える。