平安殿 「平安殿」

安神宮は、平安遷都1100年の節目にあたる明治28(1895)年に創建された京都市の総鎮守社。境内の庭園は、谷崎潤一郎の『細雪』や川端康成の『古都』の舞台としても知られ、全国各地や海外からも多くの参詣者が訪れる名所でもあります。

その参道、神宮道に面した菓子舗・平安殿の代表菓が、店の名を冠した「平安殿」。柚子風味の白あんを焼皮で包んだ一見シンプルな菓子ですが、深煎り粉を用いた皮にあえてひび割れを施すことで、平安京の古瓦を表現しています。

香ばしい皮を手で割るとふんわりと漂う柚子の香り。一年中求めることができますが、柚子の色づくこの季節にはことのほか嬉しい一品です。

熱々の番茶やコーヒーなどとも相性良く、日々のお茶の友に、贈答にと重宝する銘菓です。

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