ファイナンシャルプランナーの内藤眞弓さんは「定年を迎える際、居住地の地域包括支援センターを訪ね、介護など高齢者の悩みを相談しておくべき」とのことで――(提供:photoAC)
内閣府が2019年に行った調査によると、60歳以上の人に万一治る見込みがない病気になった場合、約半数(51.1%)の人が「自宅」で最期を迎えたいと回答したことが明らかになった。週刊誌記者として終末期に直面した現場の声を聞いてきた笹井さんいわく、「家で死ぬことは簡単じゃない」とのこと。実際、家族に介護が必要になった場合、まずはどのように対応すればいいのだろうか――。

困った時は地域包括支援センターへ

介護の問題、高齢者の困りごとがあれば、各自治体にある「地域包括支援センター(包括)」でまずは相談を。どんな小さな自治体にも必ず設置されており、対象地域に住んでいる65 歳以上の高齢者、またはその支援のための活動に関わっている人が利用できる。相談は無料。

包括がどこにあるかは、各自治体の老人福祉関連部署に問い合わせてもいいし、厚生労働省の護サービス情報公表システムでも検索できる。

包括には、保健師や社会福祉士、ケアマネジャーなどの専門家が分担して業務を行っている。ファイナンシャルプランナーの内藤眞弓さん(生活設計塾クルー)は「定年を迎える際、居住地の包括を訪ねること」を勧める。

「どの地域に住んでいるかによって使える介護サービスは異なります。ですから一つの目安としては自分が定年を迎える時に、終末期に備えて情報収集することが大切です。予行演習として親の居住地の包括に行ってもいいでしょう。例えば親に認知症の疑いがあって、病院に行きたがらないような場合でも、相談すれば訪問して認知症であるのかどうか、正確な診断へつなげてくれます(認知症初期集中支援チーム※)」

相談する際は、事前に困っていることや解決したいことを具体的に書き出しておくこと。すると、その分野に詳しい専門家につながりやすい。

※認知症初期集中支援チーム――医療と介護の専門職(保健師、看護師、介護福祉士など)と認知症専門医が一丸となって、認知症の人やそれが疑われる人およびその家族を訪問して、初期の支援を包括的、集中的(6か月程度)に行い、自立生活のサポートを行うチーム