自治体の調査員が要介護度を判定
居住地の市区町村窓口で要介護認定を申請すると(前述したように本人、家族が難しければ包括や、入院中であれば病院の相談窓口でも可)、市区町村の調査員が自宅や施設などを訪問して、心身の状態を確認するための聞き取り調査(認定調査)を行う。
また市区町村からの依頼により、医師(かかりつけ医、いない場合は市区町村の指定医)が心身の状況について意見書(主治医意見書)を作成する。これについて自己負担はない。
その後、認定調査結果や主治医意見書の一部の項目がコンピューターに入力され、全国一律の判定方法で要介護度の判定(一次判定)、一次判定結果や主治医意見書に基づき介護認定審査会による二次判定を経て、要介護度の判定が行われる流れだ。
認定は、要支援1・2から要介護1~5までの7段階および非該当に分かれていて、この区分によって介護サービスの内容や利用限度額が異なる。もし判定結果に不満がある場合は、「不服申し立て」や「区分変更の申請」を行うこともできるが、まずは介護サービスを受けるために認定された区分で体制を整えつつ、ケアマネに相談するといいだろう。
〈要介護区分の状態目安〉
「要支援者」→要支援1と2があり、身体・精神障害により6か月にわたり継続して日常生活の一部に支障がある状態
「要介護者」→要介護1、2、3、4、5の5段階があり、身体・精神障害により6か月にわたり、日常生活の一部または全面に介助を必要としている状態(図B参照)
※本稿は、『実録・家で死ぬ――在宅医療の理想と現実』(中公新書ラクレ)の一部を再編集したものです。
『実録・家で死ぬ――在宅医療の理想と現実』(著:笹井 恵里子/中公新書ラクレ)
最期を迎える場所として、ほとんどの人が自宅を希望する。しかし現実は異なり、現在の日本では8割の人が病院で最期を迎える。では、「家で死ぬ」にはどうすればいいのか。実際には、どのような最期を迎えることになり、家族はなにを思うのか――。著者は、在宅死に関わる人々や終末期医療の現場に足を運び、在宅医療の最新事情を追った。何年にもわたる入念な取材で語られる本音から、コロナ禍で亡くなった人、病床ひっ迫で在宅を余儀なくされた人など、現代社会ならではの事例まで、今現在の医療現場で起こっていることを密着取材で詳らかにしていく。