●鹿教湯(かけゆ)温泉(長野県上田市鹿教湯温泉)

その名の通り「シカが教えてくれた湯」で、開湯は約1200年前とされる。信仰心の篤い猟師が山中で1頭のシカを射損じた。矢傷を負ったシカを見付け再び矢を向けると、一目散に逃げ去った。

不思議に思いシカのいた所に行ってみると、温泉が湧いていた。その時、日頃から信仰する文殊菩薩が獅子に乗って空中に現れ、「善哉(よいかな) 善哉 汝(なんじ)日頃の信仰にめでて この霊泉を広く世の人の為に知らせんがため 鹿に化身して汝をここに導きしなり」とお告げになった。

これが鹿教湯温泉の発見由来で、「文殊の湯」とも言われてきた。

鹿教湯温泉・氷灯ろう夢祈願(写真提供◎photoAC)

※本稿は、『秘湯マニアの温泉療法専門医が教える 心と体に効く温泉』(中央新書ラクレ)の一部を再編集したものです。