1月号の書は「天知る、地知る、己知る」です
誇りを持って生きましょう
5世紀頃に書かれた歴史書『後漢書(ごかんじょ)』に、「天知る、地知る、我(己)知る、子(なんじ)知る」という言葉があります。なんでも後漢時代の高名な政治家が、賄賂を断るときに言った言葉だとか。誰も知らないだろうと思っても、天地も知っているし、自分も、あなたも知っている。悪事は必ずばれる、ということのようです。
私はこの言葉を、「誇りを持て」という意味だと解釈しています。たとえ誰も見ていなくても、天も地も、そして誰よりも自分自身が、己の行動を見て知っている。だから自身のありようをもう一人の自分がしっかりと見つめ、ずるいことや醜い行いはせず、カッコよくあらねばならない。それが「誇りを持つ」ということだと思うのです。
「人に知られなければいい」と思って醜い行いをしたら、きっとそんな自分に誇りが持てなくなるでしょう。卑屈にもなるだろうし、坂を転がるように、悪い方向へと堕ちかねません。そういう方は品位を失い、立ち居振る舞いや表情も卑しくなります。
ですから、私は若い頃から、自分に恥ずかしい生き方だけはするまい、胸を張って生きていける自分でいようと強く思ってきました。そのため、ときには、ずいぶんとやせ我慢もしたものです。
どんなときも人が忘れてはいけないのが、自分への誇り。たとえ苦境にあっても、誇りが人をまっすぐ立たせ、心を豊かにしてくれるのです。そういう人からは、清らかなパワーがあふれ出します。そのパワーが幸福の金粉となり、きっとその人を輝かせてくれると思います。
●今月の書「天知る、地知る、己知る」