歌手、俳優の美輪明宏さんがみなさんの心を照らす、とっておきのメッセージと書をお贈りする『婦人公論』に好評連載中「美輪明宏のごきげんレッスン」。
2月号の書は「麗人」です

教養をひけらかさず、物腰はやわらかく

今年もこの連載を続けることになりました。暗いニュースばかりに気をとられてしまいがちですが、世の中の明るいことにも目を向けて、これからも、みなさんと楽しく「ごきげん」の作法を学んでいけたらと思います。

年の初めに私が選んだ言葉は「麗人」です。できれば皆さんには、麗人を目指していただきたい。「もう遅いです」などという、あきらめの声が聞こえてきそうですが、そんなことはありません。心がけ一つで近づくことはできますよ。

美しい女性を表す言葉に、「綺麗な人」「美人」「佳人」「麗人」などがあります。綺麗な人は雰囲気が整った人で、美人は容姿容貌に恵まれた人のこと。その上の佳人は、美しいだけではなく上品な趣のある人です。

私が思う一番上位にある存在は、麗人。教養百般に通じているけれど、それをひけらかさず、物腰もやわらかく知性的。そして日々、愛とやさしさをもって人と接している。すなわち顔の造作を超えた精神の美しさを備え、美意識を持って生きている人。それが麗人です。

これらは、努力次第で身につけることができます。知性と教養、上品さや愛情深さが自分のものとなったら、おのずと人に与える印象が変わるはず。

物腰の美しさを身につけるには、茶道も役立ちます。背筋を伸ばすためにヨガやダンスを始めるのもいいかもしれません。そして美しいものをたくさん見て、いい音楽を聞き、心に栄養を与えて知性を磨くこと。皆さんも2023年、少しでも麗人に近づけるよう、がんばってみてはいかがでしょう。

●今月の書「麗人」