社長に暴言を吐かれてもIさんが我慢してしまうワケとは――(写真提供:Photo AC)
自分にとって都合の悪いことは棚に上げ、うまくいかないことがあるたびに「私は悪くない」と主張して他人や環境のせいにする……。「このような病的ともいえるほどの自己正当化が蔓延している」と指摘するのは精神科医の片田珠美さんだ。片田さんは「自己正当化が強すぎると、やがて周囲から白い目で見られるようになり、取り巻く状況がますます悪化してしまう」と警告を発します。その例として、しばしば暴言を吐くくせに自分が悪いとはみじんも思わない、ある社長の例が挙げられるそうで――。

Iさんを追い詰めたワンマン社長の場合

自分のことしか考えていない人はどこにでもいるが、職場の上司だったら本当に困る。

たとえば、40代の男性会社員Iさんは、動悸(どうき)と寝汗で眠れず、不安で気分も落ち込むため、仕事に集中できなくなったと訴え、私の外来を受診した。

心身に不調をきたした最大の原因としてIさんが挙げたのは、勤務先の中小企業の社長だった。

この社長は70代で、創業者である自分が会社を大きくしたという自負があるのか、かなりワンマンらしい。

毎週月曜日には“ミーティング”と称する集会があり、全社員に出席が義務づけられているのだが、社長が自分の言いたいことだけ延々と話す。それが2~3時間続き、しかもダメ出しがほとんどなのだという。