今も昔も貫いていること

なんやかんやで、もう僕もこの歳になって、先輩もほとんどいなくなりました。見回しても、後輩ばっかりになってきました。

長いことやってますから、いろいろな場面を見てきたんですよ。若い子で今までになかったことをやっている人がいると「こんなもんアカン!絶対に売れへん」と否定しにかかる先輩もたくさんいました。

でも、それで売れていったら、今度はサッと手のひらを返して態度が変わるんです。そういうことをたくさん見てきて、自分は絶対にそんなことはしないでおこう。それだけは決めてましたし、今はより一層、それを貫いています。

若い子に何か言うにしても、その子のプライドや可能性を潰すようなことは言わない。そんな言い方もしない。ここはこれからも続けると思います。

あと、何年舞台に立てるか。こればっかりは誰にも分かりませんけど、なんとか少しでも長く元気で舞台ができていたら。本当にそれを思うばかりです。そして、周りに迷惑をかけたりするようになったら、その時は潔く辞める。これも現時点では決めています。

この歳まで舞台をさせてもらって、何を言ってもぜいたくなのかもしれませんけど、許されるなら一日でも長く舞台に立っていたい。それも正直な思いです。

寛平ちゃんは今で73歳か。毎日これでもかと走ってるし、あっちはまだまだ元気やけどね。負けんように頑張りたいけど、あの人はもう別の生き物やと思ってますから(笑)。僕は僕で自分のできる限り、なんとか踏ん張りたいと思っています。

(撮影◎中西正男)

■池乃めだか(いけの・めだか)
1943年7月3日。大阪府出身。本名・中井昭彦。三洋電機に勤務後、66年にお笑いの世界に入る。漫才コンビ「海原かける・めぐる」のめぐるとしても活動し76年にコンビ解散後は吉本新喜劇に入団。以後、池乃めだかを名乗る。間寛平との《サルとネコの戦い》などお馴染みのギャグやムーブで一時代を築く。