過剰に不安に思うのをやめる

森田正馬(もりたまさたけ)という精神科医が創始した森田療法では、人が不安になるのは「生の欲望」があるからだと考えます。例えば、人に嫌われたくなくて不安を感じている人は、裏を返せば「人に好かれたい」という生の欲望を持っています。

不安があるからこそ、私たちは「頑張って働こう」「将来のために勉強しよう」などと努力をします。不安はエネルギーに変換できるということです。

また、人は不安を持つことで対処法を準備できます。「電車が遅れるかもしれないから早めに家を出よう」「渋滞に備えてクルマに給油しておこう」などと考えるのは、不安を上手に活用している例といえます。

ただし、過剰に不安を持ってしまうのは問題です。これから起こるかもしれない事態を必要以上に不安視し、悲観的な未来を想像してしまうことを「予期不安」といいます。

実は大半のケースでは、不安に思っていたことが実現しても、それほどダメージを受けないものですが、予期不安に振り回されるあまり、リスクを高めてしまうことがあります。