お金でサービスを買うだけでなく、もっと素直に他人に頼ってもいいのではないのでしょうか――(撮影◎三浦憲治)
2023年現在、「団塊の世代」が75歳を迎え始めていますが、医師で多くの著書を持つ和田秀樹さんいわく、「若いうちは認知症よりうつ病になる人の方が多いが、75歳を境に認知症になる人の数がぐっと増える」とのこと。70代以降にやってくる「老い」を遅らせるために避けるべきことの一つが、人に頼ることを遠慮してしまうことらしく――。

自立へのこだわりをやめる

高齢者は「子どもたちにはなるべく世話になりたくない」「できるだけ人の手を煩わせないようにしたい」といった言葉をしばしば口にします。

もちろん「一人でできるうちは他人の手を借りずに一人でやる」というのは立派な心掛けです。あえて否定するつもりはありません。

けれども、いずれは一人では生活がままならない段階を迎えます。足腰が弱ってきたら、無理をせず、人に頼る生活へとシフトしていきましょう。

まずは、公的な福祉サービスを利用しましょう。

これまで社会人としてきちんと納税してきたのですから、福祉サービスを利用することは当然の権利です。

もっとも、自分が払ってきた税金をサービスで返してもらっている、費用を負担してサービスを受けているという意味では、福祉サービスの利用も自助努力のうちに入ります。本当の意味で人に頼っているというのとは違います。

お金でサービスを買うだけでなく、もっと素直に他人に頼ってもいいのではないか、と私は思うのです。