梅棹忠夫に学ぶ「ノートの取り方」
一人目は梅棹忠夫(うめさおただお)という人です。大阪にある国立民族学博物館の初代館長で、2010年に90歳で亡くなりました。『知的生産の技術』という著書は大ベストセラーで、100刷を重ねたそうです。「考えるにはどうしたらいいか」というヒントを書いた本なのですが、具体的には情報の整理が人間の考える出発点だと解説しています。
整理というのはorganize、整頓はadjustというのかな。整理するということは、考えることが頭に入ることなんです。整頓とはちょっと違う。中1には早いかもしれませんが、そういう本があることは知ってください。
本の題は、京都大学の同僚で日本で最初にノーベル賞を受けた物理学者、湯川秀樹さんの言葉がヒントになったそうです。梅棹さんが雑誌の連載を始める際に、湯川さんが「それは一種の技術の問題ではないか」と助言したと、本に書いてあります
民族学博物館に、梅棹さんが子どもの頃に使っていた大学ノートが残っています。本校では、12歳の頃に梅棹さんが書いたノートのレプリカや資料を毎年この時期に借りていて、今年も1週間ぐらい図書室に展示されます。梅棹さんがどんな風に勉強したか、ノートのつけ方も分かって、とても面白いですよ。
私がここで言いたいのは、ノートを工夫して取るということが、勉強する上で、とても大事だということです。それは、ものごとを整理して考えることだからですね。
エジソンを知っていますか、世界の発明王ですね。ある人が「あなたの考える力はどうやって身につくのか」と聞いたら、その99%は努力で、1%がインスピレーション、ひらめきだと答えたそうです。
この努力をパースピレーション(perspiration)というんだけれど、汗をかくことという意味があるんです。汗はあっというまに蒸発して乾いてしまいますよね。だから努力したことは残らずに忘れてしまう。それでも残る方法があるんです。