ノートを工夫してうまくつける

ノートに書いておけば忘れない。授業で先生に話を聞いても、1時間たつと中身の5%ぐらいしか覚えていないそうです。あとは蒸発しちゃう。だからノートをつけて、その記憶をすぐ取り出せるような形にすればとても役に立ちます。そして、考えることがどんどん深まっていくんですね。

これからの6年間は小学生の時とは違います。一生懸命覚えることより、先生から聞いた内容を自分でかむかう、つまり考えることが大事で、そのためにノートを工夫してうまくつけることが必要なのです。これで理屈が通ったね。わかりましたか?

この学校は中1で入った生徒のほぼ全員が大学を受験しています。だから君たちは、大学に行くつもりで中学から勉強してほしい。出発点が自分に適したノートづけを考えることで、その習慣を中学で身につけるのが、中高一貫教育をする意味でもあります。

梅棹先生はノート以外にメモの取り方や書類の整理の仕方も提案しています。学問をする、勉強をすることの出発点のヒントを示しているので、ぜひ展示を見てください。

 

※本稿は、『伝説の校長講話――渋幕・渋渋は何を大切にしているのか』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。


伝説の校長講話――渋幕・渋渋は何を大切にしているのか』(著:田村哲夫/聞き手:古沢由紀子/中央公論新社)

「共学トップ」渋幕、渋渋。両校の教育の本質は、「自調自考」を教育目標に掲げたリベラル・アーツにある。その象徴が半世紀近くも続く校長講話だ。中高生の発達段階にあわせ、未来を生きる羅針盤になるよう編まれたシラバス。学園長のたしかな時代認識と古今東西の文化や思想、科学への造詣――前半は、大人の胸にも響くこの「魂の授業」を再現。後半は読売新聞「時代の証言者」を大幅加筆。銀行員から学校経営者に転じた田村氏が、全く新しい超進学校を創り、育ててきた「奇跡」を振り返る。