昔の本を読むことは、優れた友達を持つこと
「パン」というのはギリシャ語で「すべて」、「デミック」は「人々」を意味する「デモス」から来ているそうです。民主主義、デモクラシーの基にもなった言葉です。歴史に関心を持つと、今の自分たちが、実は大昔といろんな意味でつながっていることに気がつくんですね。
考古学という学問が発達すると、数千年前の人たちが定住したことで起きたパンデミックにどう対応したのか、知りたくなるでしょう。ホメロスの『イリアス』を読むと、昔も今も人間は変わらないと知ることができますね。3000年近くも昔の人たちについて理解することが、自分で考えることにつながるんですね。
日本文学にも、世界に誇る素晴らしい作品があります。代表的なのが紫式部の『源氏物語』ですが、吉田兼好という人が書いた『徒然草』の十三段にこんな文章がありますよ。「ひとり灯(ともしび)のもとに文をひろげて、見ぬ世の人を友とするぞ、こよなう慰むわざなる」。『徒然草』が書かれた約700年前に、ロウソクの明かりで昔の人の書いた本を読み、とても心が慰められる、と書いている人がいる。本を読むのは楽しいことだと思えるでしょう。
「読書尚友」という言葉も覚えておいてほしいと思います。昔の本を読むことは、優れた友達を持つことと同じだよ、という意味です。読書尚友。一生懸命読んでみてください。