山本さんいわく、理解できない相手だからこそ学べることもあるそうで――(写真提供:Photo AC)
「話がかみ合わない」「人の目が気になって気をつかいすぎてしまう」「部下の育成がうまくいかない」生きていく上で誰もが抱える、パートナー、親子、上司部下との人間関係の悩みやストレス。日本コミュニケーション心理学協会マスター講師として、全国各地で講演を行っている山本千儀さんは、自身の体験や受講生の実例を踏まえ、生まれ持つ気質から読み解く人間関係とコミュニケーションを円滑に進めるための手法を伝えています。その山本さんいわく、どうしても合わない人に合わせる必要はなくとも、自分と違うタイプの人から生きるヒントを得られることも多いそうで――。

全員と仲良くできなくてもいい

今は多様性の時代です。いろいろな個性や考え方を持った人が尊重される、という価値観が浸透しつつあります。

多様性が大事というのは、「自分と違う人がいてもいい」「違う人を否定もしない」ということです。

多様性を認めるということは、多くの人と共存するまたは価値観まで同じにすることではありません。

みんなにとって「いい人」でも、自分にとっては「いい人」と思えない人だっています。その逆ももちろんあります。

全員と仲良くしようとすると、大切な人まで抱えきれなくなって、あふれ落ちるリスクもあります。最も自分らしく生きている人は、人間関係がとてもシンプルです

全員と仲良くしようとすると、大切な人まで抱えきれなくなって、あふれ落ちるリスクもある(イラスト:山本果樹/『「他人に振り回される私」が一瞬で変わる本』より)

苦手な方の素晴らしいところにフォーカスする、いろいろな角度から柔軟に捉えることもできますが、どうしても自分のペースが崩れる、心地良い時間を過ごせない、時間を奪われる、害を加えられるなどがあるなら、そのような人間関係は手放しましょう。

無理に関わらず、まずは少し距離を置くところから始めても良いのです。