レミさん、「カレー粉はカレーの実からとれるもの」と思っていたそうで――(写真提供:Photo AC)
「専門用語もあまり知らないし、お料理はたいてい自己流」と話すのは、テレビや雑誌を通じて数々のアイデア料理を発信している料理愛好家の平野レミさんだ。著書『エプロン手帖』では、子ども時代の味覚の記憶から、両親や夫・和田誠さんとの料理にまつわるおいしい思い出まで、食材への敬意とともに綴っています。そんなレミさん、「カレー粉はカレーの実からとれるもの」と思っていたそうで――。

「レミのカレーは辛かったなあ」

私は小学生のとき、初めてオリジナル料理を作ったのだけど、その後オリジナルじゃない普通の料理を、母を手伝って作っていた。

私一人で勝手に作った普通の料理の最初は、カレーライスだった。

中学の卓球部の仲間と夏休みに蓼科(たてしな)高原にキャンプに行ったとき、みんなは山に登り、私ともう一人の友だちが下で料理当番をやった。

中学時代のキャンプで作ったカレーはカレー粉を入れすぎて、今でも同窓会に行くと「レミのカレーは辛かったなあ」と言われる(イラスト:舟橋全二/『エプロン手帖』より)

あっためればできるカレーなんてなかったから、大きな鍋で肉と野菜を炒め、小麦粉を炒って、カレー粉をどばっと入れた。

ご飯は飯盒(はんごう)で炊いた。カレー粉を入れすぎて、みんな辛い辛いと言った。

なんとか食べられるものだったけど、今でも同窓会に行くと「レミのカレーは辛かったなあ」と言われる。