「暗い、怖い、汚い」の3Kだった池袋

ーーいずれにしても、マイナス(人口減)であることに、日本の現状が反映されていますね。

国全体が人口減少の局面にあり、東京圏もこのままでいけば生産年齢人口が減り、四〇年までに高齢化率35%の超高齢社会になっていきます(増田寛也編著『地方消滅東京一極集中が招く人口急減』より)。

そこはまた、別の手立てを考えなければなりませんが、豊島区の納税義務者の数は、14年から5年間で2万人を超える増加があり、区民税収入は約43億円増えました。これは、私たちにとって、政策の方向性が間違っていないという自信につながりました。

ーー人口増加を継続するには、子育てサポートだけでは、足りないとも思いますが。

このまちには未来への希望があると感じてもらえるような、目に見える変化も同時に必要です。以前から、池袋駅前にはずっと「暗い、怖い、汚い」というイメージがつきまとっていて、池袋が大好きな私は歯がゆさでいっぱいでした。

先にお話しした「としま100人女子会」でも、「豊島区は週末、ここに行きたい!と思えるところがない」と、手厳しい意見をいただいていました。本当はいいところも多々あるのに、打ち出し方が足りていないせいで、魅力が伝わっていなかったのです。

池袋駅東口前。一日の総乗降客数は概数で270万人に達する(写真提供:写真AC)


ーーたとえばどこでしょうか。

池袋駅西口には立教大学のキャンパスをはじめ、フランク・ロイド・ライトが設計した自由学園明日館という、すばらしい建築資産もあります。ふくろうで有名な鬼子母神や、夏目漱石が眠る雑司ヶ谷霊園も緑の多い静かな場所です。

私自身、生家が池袋駅西口にあった古書店で、家は母校の立教大生のたまり場でしたので、このまちが持つ温かさや、文化の度合いは肌感覚で知っていました。

それなのに、駅前のイメージは、戦後の闇市をひきずった「暗い、怖い、汚い」の3K。繁華街としての人気も、渋谷や新宿に及ばない。それを何とか覆して、豊島区を品格のある文化都市として打ち出せないか。若いころから、それはずっと考えていました。