松本潤さん演じる徳川家康がいかに戦国の世を生き抜き、天下統一を成し遂げたのかを古沢良太さんの脚本で巧みに描くNHK大河ドラマ『どうする家康』(総合、日曜午後8時ほか)。第7話で、元康は家康と名を改めて国をまとめたいと願うも、三河で続く争いで消耗した結果、銭が底をつきかける。そんな中で家康は、一向宗が年貢を納めていないことを知り、宗徒が集まる本證寺に潜入。すると住職である空誓(市川右團次さん)は「民が苦しむのは武士のせい」と説いており――といった話が展開しました。
一方、歴史研究者で東大史料編纂所教授・本郷和人先生が気になるあのシーンをプレイバック、解説するのが本連載。第26回は「戦国時代の一揆」について。この連載を読めばドラマがさらに楽しくなること間違いなし!
仏教が関係してきた戦国時代の一揆
『どうする家康』は7話より、三河一向一揆編がスタート。
7話の予告映像に「家康3大ピンチ」という字幕があったように、「三河一向一揆」は家康が生涯で迎えた危機の中でも”最大級”のものといわれています。
先ずお断りしておきますが、信仰の自由は尊重されるべきです。神や仏、何らかの超越者を信仰することは、個人の権利として社会から尊重されねばなりません。それを確認して、お話ししたい。
江戸時代的な農民による一揆、これはすごく悲惨だな、と思いながらも理解はできるのです。
大名が重税を課してくる。このままではとても生きていけない。どうせ死ぬんなら、座して餓死を待つよりも、命がけの抵抗をしよう。いばりくさった武士に目に物見せてくれる!
こういう理屈で農民が立ち上がるのは理解が可能です。
ただし戦国時代の一揆では、そこに仏教が関係してくる。仏の名のもとに、武士も農民も命を惜しまずに戦う。これは理解が難しい。