結局、リュー北條は作家に寄り添う編集者…だった?

貴司くんと舞ちゃんはお互いにお互いのことが好きですが、仲のいい幼馴染という今ある幸せまでもが壊れてしまうことが怖くて、気持ちを伝えることができずにいました。

それは同時に恋の短歌を作れず、その部分において魂の込もった作品が作れないことにも繋がっていました。

その一方で貴司の詩集の出版を目指しているのが、編集者・リュー北條です。

彼は、隠したい思いがあるがゆえ、貴司の作品のクオリティが落ちていることをちゃんと見抜いていた。無茶振りや高圧的な意見や不遜な態度も作家が殻を破って成長するための愛ある荒療治であって、実はただの俗物ではなく、作家に寄り添う気持ちのある編集者だったのだ――

という見方、たしかに妥当だと思うんです。ただ、本を実際に出した経験のある私としては、そんな気分になれず…。