さらにもうひとつ、ご家族にお伝えしているのが、「患者さんの気持ちを穏やかにする薬があります」ということです。

周辺症状の中でも特に困るのが、患者さんがやたらとカッカして攻撃的になることです。

病気が原因で怒りやすくなることを「易怒性(いどせい)」と言いますが、この易怒性は、ある薬を服用すると2週間ほどで落ち着いて、

「鬼の形相で殴りかかってきたおばあちゃんが、本当に穏やかになりました。これなら全然、うちで看られます」

と言うご家族はとても多いんです。

周辺症状がそれほど長く続かないこと、そして、患者さんの易怒性をやわらげてくれる薬があること、これらの事実を知っているか知らないかで、ご家族の負担は大きく変わります。

認知症介護にとって、まさに「知識は力なり」なのです。
 

『ボケ日和―わが家に認知症がやって来た!どうする?どうなる?』(著:長谷川嘉哉/かんき出版)