もう一つターニングポイントを挙げるなら、16年夏に東京五輪の正式種目に決まった瞬間。中国遠征中に知ったのですが、絶対にオリンピックを目指したいと思いました。でも予想外の注目度の高さにはびっくり。選手はメダルを獲ってこそ注目されると考えていたのに、今からこんなに応援していただけるとは。

メダルは絶対に獲りたいです。そのために昨年から個人トレーナーと契約して体を鍛え直し、技も磨いています。私の弱点は、日本に練習施設が少ない「スピード」。

私のストレスを察知したのか、父が自宅の駐車場に施設を作ってくれることになりました。完成すれば、自宅にいながらスピード、ボルダリング、リードの3種目が練習できるので、東京五輪を不安なく迎えられそうです。

もちろん、要望があれば仲間たちにも開放しますよ。みんなで競い合ったほうが日本代表の実力の底上げにもなりますから。そしてチームで複数のメダルを獲りに行きます。

 

***

KDDI株式会社 馬場剛史さん(撮影:本社写真部)

私たちは、野口選手の夢を応援しています!
裾野の広いスポーツを支援できる喜び

KDDI株式会社宣伝部長 馬場剛史さん

我々がスポーツクライミングのスポンサーとして、野口選手、楢㟢智亜(ともあ)選手、藤井快(こころ)選手など4人からなる「TEAM au」を発足させたのが、16年8月。

当時はそれほどメジャーな競技ではなかったけれど、知れば知るほど、我が社のブランドスローガンである「新しい自由。」と親和性が高いと感じています。年齢や男女を問わず楽しめる親しみやすさがあり、体力だけでなく知力も使う。さらに、見ている側もワクワクできる。そんな裾野の広いスポーツを応援できる喜びも感じていますね。

その後、チームには若手の楢㟢明智(めいち)選手、伊藤ふたば選手が加わり、世界ランキング上位の選手が多く所属しています。

野口選手に実際に会うまでは、実はちょっと怖いイメージがあったんです(笑)。試合の時の、他人を寄せつけないような凜とした姿しか知らなかったから。でも、実際にお話ししてみるとなかなかお茶目で、人に対する気配りの細やかさにプロ意識を感じましたね。

正直に言うなら、チームに対する支援はまだ不十分だと思います。心置きなく練習に打ち込めるよう、選手と話し合いながら支援していくつもりです。