怒りは悪いことばかりではない
それでもまだムカムカする場合は、スクワットを10回ほど追加。運動すれば体も適度に疲れ、寝つきもよくなります。一晩よく寝れば、ほとんどの怒りは跡形もなく消えています。
内科医として50年近く、病気になった患者さんの悲しみや苦しみ、納得できない怒りに付き合ってきました。
その長い経験から、つらくなった心を解きほぐすためには心のもち方を変えることではなく、ホルモンや、体を動かすことに頼るのが正解だとわかってきました。
怒りは悪いことばかりではありません。怒りによって分泌されるアドレナリンは、自分を高めたり、何かを成し遂げるための原動力になります。
フェデラーは怒りをコントロールして、試合に勝てただけでなく、人間的にも成長できました。ファンに愛され、選手仲間からは尊敬され、惜しまれて引退しました。
アンガー・マネジメントで気持ちを落ち着け、冷静な判断力をもちながら、怒りのパワーを活用できたらいいですね。
怒りを上手に手なずけて、パワーに変えよう。
※本稿は、『60歳からの「忘れる力」』(幻冬舎)の一部を再編集したものです。
『60歳からの「忘れる力」』(著:鎌田實/幻冬舎)
“忘れる”ことを恐れないで!
「名前が出てこない」「昨日の夕飯は何だったっけ」
「また同じ本を買ってしまった」……
60歳前後になると、「もの忘れ」の悩みが増えてくる。
しかし、人生の8割は忘れていいことだ。
長年にわたって高齢者医療を牽引する著者が教える、
面倒なことは捨てて、好きなことだけで生きるためのヒント60。