「同世代の人からは〈なぜそんなに充実した60代を過ごせているのか〉とよく聞かれますが、その大きな理由は、私が根っからポジティブな人間だから」(c)Greg Funnell

小さな幸せを見つけることから

現在も多忙な日々を送っていますが、30代や40代のときと違うのは、自分で生活のリズムをコントロールできるようになったこと。この1ヵ月を振り返ってみても、ロンドンビジネススクールでの講義、オランダでの講演、そして東京への出張と過密なスケジュールをこなしてきました。その間に夫とラグビー観戦に行ったり、妹とウォーキングをしたり、プライベートの時間は確保しています。

同世代の人からは「なぜそんなに充実した60代を過ごせているのか」とよく聞かれますが、その大きな理由は、私が根っからポジティブな人間だから。基本的に、どんな小さなことにも幸せを見出せる性格なんですよ。

たとえば、今朝、最初にワクワクしたのは、雪が降っていることに気づいた瞬間。ほら、カメラで窓の外の様子を見せてあげますね。素敵な雪景色でしょう。

皆さんも、こうした小さな幸せを見つけるところから始めてみてはいかがでしょうか。考えてみてください。いまの年齢まで生きられただけでも十分幸運なこと。ことに長寿である日本人の皆さんには、これから多くの可能性があります。

60代、70代の読者のなかには、仕事をいつまで続けようか、思案している方もいることでしょう。私はできるだけ、「人の役に立つ仕事」を続けていただきたいと思います。これは有償、無償を問いません。

年を重ねるにつれて人間の「流動性知能」(計算力・暗記力・思考力・集中力など)は衰えていきますが、そのぶん、「結晶性知能」(時間をかけて獲得していく言語能力、理解力、洞察力など)は蓄積されていきます。

年齢を重ねることの素晴らしさの一つは、この「結晶性知能」を活かすことによって、より多くの人の役に立つ機会が得られること。シニアの皆さんには、自らの能力を活かした仕事をして、社会に貢献し続けてほしいのです。私自身は教員をつとめるかたわら、企業の若手社員に無償でアドバイスする活動を続けています。

また、これまでの人生でやったことがないことにチャレンジするのもいいですね。私が最近始めたのは、オンラインの創作文芸講座の受講。ビジネス書とは違う、自伝的な本を書いてみたいと思っています。これからやりたいのが陶芸。妹が陶芸教室に通っていてとても面白そうなので、時間ができたら私も始めてみようと思っています。

皆さんのなかにはお金がないからと何かをあきらめてしまっている方もいるかもしれませんが、探せばお金をかけずに実現できる道はあります。どうかチャンスを逃さないでください。